指を絡ませて
その手に触れたくて




 日曜日の昼下がり、ポカポカとした春らしい陽気のためか、公園の中はカップルや子供連れの人々で溢れている。


 あたしの目は、仲良さそうなカップルの繋がれた手に吸い寄せられた。


 何があっても離さない。


 そう感じさせる繋ぎ方に、あたしは羨望の眼差しを送る。


 ――いいな……。


 あたしは、斜め前を歩く彼の、無造作に下ろされた手に目をうつした。


 骨っぽいけど長くて細すぎない指と、大きな掌。


 



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