指を絡ませて
なのに、友人に言われた言葉のせいで、気になりはじめてしまった。
『外で手を繋がないって……もしかして、二股かけられてんじゃないの?』
頭の中で、ぐるぐると回る言葉。
あたしは可憐に咲く桜を見上げた。
風に吹かれて散る花弁に、なんだか自分が重なって見える。
「佳乃? どうした?」
優しい声があたしを呼んだ。
立ち止まったことにすぐ気づいて、通行人の邪魔にならないように脇によって彼は待っている。
「ごめんなさい。桜が綺麗だったから見とれちゃった」
「ああ、確かに綺麗だよな」
彼は、目を細めて桜を見上げた。