無口な上司の甘い罠
そんな私の顔を見て、隆盛は笑った。

・・・でもとても切なげに。


「なんて顔してんだよ、バカ」

「だって・・・」


「お前が幸せなら、オレも幸せなんだよ。

・・・それでいいじゃん、今日子はいつもそんな顔してろ」


「隆盛、ゴメンね」


「謝んな、」

「・・・ありがとう」


「礼なんて言うな…惨めになるから」

「…バカ隆盛」


「バカは余計だ、バカは」

言い合いしているうちに、私たちは笑っていた。


隆盛の彼女になった子は、

きっと、世界で一番幸せかも知れないな。

…いや、2番目かな。


一番は、私たち。

そう願わずにはいられない。
< 113 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop