無口な上司の甘い罠
定時に仕事が終わった私は、少し急いでいた。

…今夜は,部長と久しぶりに一緒にいられる日。


素敵なレストランで食事して、その後はホテルに一泊。

明日の一番の飛行機で、北海道に帰ってしまうから、

それまで、部長は私の為に傍にいると言ってくれた。


…予約は宮本で取ってある。

部長の言葉に従って、私はレストランに入り。


「宮本ですけど」

そう言った。


「宮本様ですね、お連れ様はまだのようです。

お先に、お席へご案内いたします」

店員に案内されて、一番窓際の夜景の見える席へ。


…嬉しいな。

部長が、こんな素敵な席を取ってくれて。

そんな事を思いながら、部長を待った。




「…瀬名君は来ないわよ」


「・・・え?」

私の背後から突然そんな声が聞こえてきた。
< 114 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop