無口な上司の甘い罠
…いつの間にか戻ってきた隆盛が、私にココアを差し出し、握らせた。

「とりあえず、それでも飲んで待ってろ」

「…」

…何を待つの?

そう聞き返せばいいのだけど、その気力も残って無かった。

…部長、どこにいるの?

…部長、私はどうしたらいい?

…部長、…部長。


声も出さずに泣いてる私の手を、隆盛は黙ったまま握りしめていた。
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