無口な上司の甘い罠
着いたのは、某ビジネスホテル。

4階にある406号室。
ノックをすると、間もなく開いたドア。

「…どうしたの、そんな怖い顔して?」
そう言って、微笑んだのは峰子。

「…返せ」

「…何を?」

「今日子から奪った指輪だ」

そこまで聞いてもシラをきる峰子。
イラつく自分を何とか抑え、もう一度言った。

「俺はアンタとは結婚しない、したくもない。こんな、人を傷つけるようなアンタとは」

「…結婚すると言わなければ、返さないわ」

そう言って、俺を見つめた峰子に、
俺の中で、何かが切れた。

…ドン!

勢いよく、峰子を壁に押し付けた。

「…今日子を傷つけるなと、忠告してたはずた」
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