無口な上司の甘い罠
そんな私を尻目に、部長は私の右手を握ると、何かをはめた。

「…部、長」
滲む視界に入ったのは、取られたはずの婚約指輪。

「…すっげえ顔」
そう言って、部長はフッと笑う。

「わ、笑わないで下さいよ〜」
もう声になってない。

「この指輪は、今日子のだろ?だから、取り返してきた」

「全然どうしょうもない男じゃないじゃないですか〜」

そう言って、部長を叩こうとしたら、逆に引っ張られて、スッポリ部長の腕の中に収まってしまった。
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