無口な上司の甘い罠
「お前なあ、俺の彼女でも何でもないんだから、

間に割り込んでくるなよ」


「?!・・・・」

…ぁ。泣きそうだ。

言い過ぎだよ隆盛。


「隆盛、ちょっと言い過ぎ」

「…知るか」


「いいですよ」

「「・・・え?」」


「もう、この大事な書類破り捨ててやる」

「ワッ!バカ!何やってやがる」

その書類を持って逃げる真紀ちゃんを、隆盛は追いかけた。


…本当はね、まんざらでもないんだよね、隆盛は。

でも、なんだか、素直になれないみたい。


…それは私のせい、なのかな。



「・・・・・」

ふと、視線を感じた私は、後ろを向いた。

・・・何で、今いるはずのない人がいるんだろう。












「ただいま…待たせて悪かったな」

そう言って優しく微笑んだのは。
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