無口な上司の甘い罠
「部、長・・・・」


「おいおい、またその呼び方かよ」

そう言ってあきれ顔なのは、私の愛おしい人。


「だって・・・」


「少しはサプライズになったか?」

「少しどころの騒ぎじゃないです」


そう言って私は、しゃがみ込んだ。

…瀬名は笑いながら私に近づくと、ゆっくりと引っ張った。



「これからはずっと一緒だからな」

「…絶対ですよ!」


その瞬間、私は瀬名に抱きしめられた。




・・・知ってます?

ここ、会社の特に人通りの多い、廊下だって言う事を。





「荻田、俺達、結婚式あげるぞ!」

?!・・・だ、だから、ここは社員が特に多いんですよ!


「さっさとやって下さいよ、オレも一歩前に進むんで」

そう言った隆盛の手は、

真紀ちゃんの可愛い小さな手を、ギュッと握りしめていた。


…みんながやっと、

前を見て、歩き始めた瞬間だった。









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