無口な上司の甘い罠
「宮本部長、ここって」

「え、あぁ・・・ここオレの行きつけ。

さっきの奴、オレの同級生」


へぇ~・・・思わずそんな声をあげる。


「めんどくさい事に付き合わせたからおごる」

「え、いいんですか?!」


奢る。

その言葉には弱いのだ。

でも決してお金に困っているわけではない。

短大を卒業してから、今までこの会社で働いていたんだから、

給料も、そこそこ貰っているし。


「・・・坂口って、表と裏の顔が違いすぎるよな」

「・・・そうですか?」

…貴方に言われたくないな。

貴方だって、会社では、無口、無表情じゃないですか?


「表向きは、仕事のできるクールビューティー。

裏はそれとは全くの正反対・・・」


「・・・」

ズバリ言われ、黙り込んでしまう。

本当の私は、おしゃべり好きで、よく笑う女。

でもそれは表には出せない。

この歳になると、帰って嫌われそうだし・・・
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