無口な上司の甘い罠
…おかげで、すっかりデキあがってしまった。


「ありゃりゃ・・・」

亮太は苦笑している・・・


「ったく、飲めもしないのに、こんなに飲みやがって・・・

おい、坂口、帰るぞ」


「ん?うるさい!宮本!さっさと、メガネ返せ!」

「・・・・」


「あ~あ、おれ知~らない」

亮太は、他のお客の所に行ってしまった。


・・・かくして、宮本部長は、酔っ払いの三十路女を、

家まで送る羽目に。

タクシーに乗り込むや否や、

私は宮本部長の腕に絡まった。


「おい、坂口」

宮本部長は呆れ顔・・・


「ヒック・・・・淳史の腕、あったかい・・・」

どこの誰だかわからなくなっているのか、

口走ってしまった…ある男の名前。


宮本部長は、眉間にしわを寄せ、私をしばらく見つめていた。
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