無口な上司の甘い罠
「だろ?たまに来るんだ、一度は今日子と来たいなって思ってたんだよ」

そう言って微笑む隆盛。


「こんな所。絶対他の女の子と来てるんでしょ?

私はたまたま連れて来ただけのくせに・・・」

嬉しいくせに、憎まれ口を叩く私。

…ちっともかわいげない。

そう思うと自分が情けなくなる。


「残念でした。ここは取引先の上司のお気に入りの店で、

たまに連れてこられんだよ・・・男と飯食っても、美味しい料理は台無しだな」

そう言った隆盛はワイングラスを持ち上げた。


「ほら、乾杯は?」

そう言って私にグラスを持てと言う。


「・・・何に乾杯すんのよ?」

私は眉間にしわを寄せ隆盛に問いかける。


「そうだな・・・あ、俺達の初デートに?」

「///!!」


「そんな可愛い顔してたら、襲うぞ?」

「な、何言ってんのよ!」

つい・・・叫んでしまい、周りの冷たい視線を浴びる。


「恥ずかしい奴だな」

「・・・もぅ・・・」

私はペコペコと頭を下げ、渋々グラスを持ち上げた。
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