無口な上司の甘い罠
そう言った私を、部長は、まじまじと見つめた。

え~い、瀬名って言うだけじゃないか。


「せ・・・」

「・・・せ?」


「せ・・・な・・・」

「ちゃんと言えよ」

部長は少し呆れ顔。

私は意を決して、大声で言った。


「…瀬名!」

「…プッ。良くできました。

そんなに大きな声で言わなくてもいいのに。

これから二人の時は、そう呼べよ」


「な・・ん・・・・」

反論しようとしたのに、部長は私の唇を塞いでしまった。

・・・そのキスに酔いしれてしまう。


「…ご褒美」

「・・・///」

真っ赤になった私を見て、部長は微笑み、私の髪を優しく撫でた。


「さて・・・仕事に行くか」

「・・・もぅ・・・ですか?」

…なんて、ちょっと甘えてみる。

・・・なんだかんだ言っても、もう少し二人でいたいなんて、

どこかで思ってしまう。
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