無口な上司の甘い罠
「…頼りになりますね、課長」

私はそう言って微笑む。


「こんな時ばっか、課長とか呼ぶな」

そう言った隆盛の顔に、少し元気が戻った。


…私は知ってるよ。

隆盛がどれだけ仕事ができるのか。

どれだけ、部下に頼りにされてるのか。

普段はバカな事ばっかり言ってるけど、

いざと言うときは、男を見せる凄い奴だって・・・。



「…今日は、オレと真逆で、元気そうだな」

隆盛もパソコンに向かい、仕事をしながら聞いてくる。


「当たり前じゃない。だって私、部長と・・・」

「…部長がどうしたんだ?」

「…エ?・・・あ、ほら。部長が北海道に出張してくれてるおかげで、

のびのびと仕事が出来るから嬉しいのよ」

「・・・ふ~ん」


明らかにてんぱってる私を、

隆盛は怪訝な顔で見つめていた。




「…まさか、付き合い始めたとか?」


・・・・・え。
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