無口な上司の甘い罠
その言葉に、冷静な顔が保てなかった。

凍りついたように固まって、隆盛を見つめる。

その瞳すら、焦点があっていないほど、動揺していた。


「…冗談だよ、冗談」

「・・・え?」

…冗談?何が?…どれが?

目を丸くした私を見て、隆盛は悲しそうな笑みを浮かべた。


「部長とお前、全然似合わない」

「・・・・」

何も言えない私を見て、隆盛はすぐに視線を逸らした。


「さっさと仕事しろよ」

「・・・う、ん」

パソコンに向かい、仕事を始めるも、集中できない。

明らかに動揺してしまった私を見て、隆盛は分かったのかな?


それとも、冗談って言ったんだから、バレてないのかな?


複雑な気持ちのまま、仕事をこなす羽目になってしまった。
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