無口な上司の甘い罠
「当たり前だろ」

「・・・え?」

・・・しばしの沈黙。

それを破ったのは、瀬名。



「心許せる相手じゃなきゃ、こうはならない」

「・・・」

…負けた。完敗だ。

そんな事言われたら、嬉しすぎて、何も言葉が浮かばない。



「今日子だって、オレの前だけだろ?そんな態度取るの?」

瀬名の言葉に頷く。

…お互い、心惹かれ想いあって、心許せる関係だって事だ。



「・・・でも」

箸を置いた瀬名は、窓の外に目線を向けた。

…でも、何?

私は次の言葉を待った。


「アイツの前の今日子も、きっと今日子らしい姿なんだろうな」

「・・・アイツ、って?」

一体誰の事を言っているのか。


「…オレの天敵」

「…天敵って」
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