無口な上司の甘い罠
入社して間もない頃。

まだメガネをかける前の今日子は、

周りの男どもを全員惚れさせるんじゃないかという程、

色気があって綺麗だった。

でも、どんな男にも、今日子は笑顔一つ見せなかった。


・・・それなのに。


「隆盛とはうまくやっていけそう、これからよろしくね」

そう言って、オレだけに微笑んでくれた彼女に、オレは一目惚れした。

その惚れ具合と言ったら、ただ事じゃなかった。


今日子を知るうちに、喜怒哀楽のハッキリした、

本当に素敵な女性だと思った。そして、彼女への気持ちは、

日に日に増していった。


しかし、入社当時の彼女には、彼氏がいた。

噂では、かなりのイケメンで、仕事のできる凄い男だと。

・・・そして一度だけ、2人でいるところを目撃した。


・・・写真の中の二人のように見えた。

綺麗な男女が、ネオンの中で、腕を組んで歩いていた。

理想のカップルだと思った。

・・・彼女が幸せなら、その邪魔をしない。

オレの気持ちは、心の中に閉じ込めておくつもりだった。


それなのに・・・彼女は、彼氏と別れた。
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