無口な上司の甘い罠
「期間は、3年」

「3年・・・ですか」


「この前、北海道に出張に行った時、支店の業績が、

あまりにも傾いていることが分かり、本店から、業績を立て直す

人材を派遣する事が決まって、白羽の矢がオレに立った」


「…仕事なんですよね」

仕方がないのは分かっている。

部長は仕事のできる人だから、業績の立て直しも、十分可能だろう。

・・・でも、3年は長い。

やっと繋がった二人の気持ちが、また離れてしまいそうで怖い。


「休みの日には、こっちに帰ってくる。

今日子に会いに来る…この仕事を成功させなければ、

オレは本店に戻れない。・・・最悪、クビと言う事もあり得る。

そんな事にはなりたくはない、ずっと、この先も、

今日子と一緒に仕事をしていきたいから。

3年だけ待ってくれないか?そしたら・・・「ごめんなさい」



最後まで聞く気になれなかった。


人の気持ちは変わる。

私はそれをよく知っているから、3年は待てない。

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