無口な上司の甘い罠
「今日子」

「…私には待つ自信がありません…

部長の事は大好きだけど、離れ離れなんて、

ずっと好きでいられる自信なんてどこにもない・・・

部長だって、向こうで好きな人が出来るかもしれないじゃないですか」


涙目で訴える。

でも部長は、そんな私を見ても動揺する事はない。

優しいな眼差しで私を見つめている。


「仕事と今日子の事だけで手一杯で、

他に好きな女性なんて出来やしない・・・

今日子は目を離したら、どこかの男に持ってかれるからな?」


「…そう思うのに、私を置いて行くんですか?」

もう、普通の声なんかじゃなかった。

震えて、涙声で、どんな顔してるかわかったもんじゃない。

でも今はそんなこと考えてる余裕なんてなかった。



そんな私を、部長は優しく抱きしめた。

「東京にはしょっちゅう戻ってくる。

今日子を放っておく訳ない。オレの方が、今日子の事愛してるんだから」


「私だって、部長の事好きです」

「…必ず会いに来る、毎日連絡もする。寂しい想いなんてさせない。

これが終わったら、今日子はオレと結婚する」
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