お見合い 宏太朗 Ver
「最初は梢の事が好きなんだと思ってたし、こいつら結婚するんだろうなって思ってたけど、実際は違かった」
「・・・」
「あいつらに恋愛感情はなくて、あるのは愛情だけ。それも果てしない位深いやつな。底なし?だからってまぁ俺もなんだけど、梢の我儘な性格は俺らのせいだな」

そこで息を吐いた梓はグラスに注いだビールを飲み干す。

「我儘なのか?」
「うーん。色々なタイプがあるだろ?あいつの場合、それがちょっと現実離れしてるっていうか今回の見合いとかもそうだしな。普通の我儘じゃねぇんだよ。だから嫌な気はしねぇし、毎回俺も興味出ちゃうんだよなぁ」
「梓の好奇心ってすごいからな」
「だろ?それをくすぐってんだよあいつ。だから、付き合うってなったら、お前もちゃんとあいつの我儘に付き合えよ」

どこまでも楽しそうに話す梓にそんな事があるのか訊いてみる。

「わかんねぇよそんなの」
「は?」
「もしもの話だよ。あいつがお前に気を持っても、お前があいつに気を持つとは限らねぇし、その逆だってある」
「・・・だな」

各々の気持ちを汲んでるんだろう。
こいつの他人への想いはいつも感心する。
< 11 / 22 >

この作品をシェア

pagetop