お見合い 宏太朗 Ver
「ささ、座りましょ。美味しいランチがまってるわ」

その声を合図のように四人とも席に着く。
なんだろう。この不思議なメンツは。
一生記憶に残るな。夢にも思わなかった自分の今の状況に段々面白さを感じ始めていた。

「梢ちゃんは、知っての通り梓達と幼馴染なんだ」

小父さんがなぜかもう既に知っている情報を口にする。

「噂は聞いています」

としか答えられず

「梢ちゃんは噂の的よね。ふふ」

と玲子さんは呑気に声を出す。

うつむき加減のままの彼女の表情はわからない。
一人黙々と料理を口に運ぶ動作に何一つ迷いはなく、その一連の動きになんだか俊介が重なった。

そういえば梓は俊介に細かいマナーを教わったと言っていたから、もしかしたら彼女のそれもそうなのかもしれない。
それとも、逆に彼女が俊介に教えたのか。
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