お見合い 宏太朗 Ver
「申し訳ないが、デザートはパスさせて頂くよ。これから会議なんだ」
「私もなのよ。梢ちゃんごめんね」


絶対わざとなんだろう。
二人がそのまま静かに立ち上がれば、彼女は驚いたように二人を見上げた。

「ふふ。あとは、若いお二人で」

玲子さんは楽しそうに笑いながらそう言い放ち、そのまま二人はエントランスへと向かった。

・・・大丈夫か?

二人がなくなってから、彼女はさっき以上に黙りこくり、黙々とデザートに集中していた。
特に美味しそうに食べてるわけでもなく、緊張からなのか、作業のようにそれを口へと運んでいた。

「緊張、とれてない?」

『もしかしたら会話できねぇかも』
『お前がフォローすんだぞ』

俺自身の事は丸無視の二人の言葉を思い出しながら、彼女へ話かける。

「・・・はい」
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