お見合い 宏太朗 Ver

「ねぇ、梢ちゃんっていつ来るの？」

数回のノックの後で、玲子さんが部屋に入りながら誰にってわけでもない感じでそれを尋ねた。

関村梢。
直接会ったことはないが、この二人が囲っているらしい女の子。
興味はあるものの、一度だって会った事はないし、なんとなく会ってみたいと俺からは言いづらくて、彼女の名前すら口にした事はない。

「「日曜」」

玲子さんに応えたのは二人同時で、その返答は綺麗に重なった。

「そんなに？！何かあったの？」
「研修中。戻るの日曜だから、多分そのまま来るんじゃない？」

パソコンに目を向けたまま淡々と答える俊介に玲子さんは明らかに残念そうな表情を浮かべた。

「そうなの。せっかくシチュー作ったのに」
「又連れて来るよ」
「あなたたち、代わりに食べて行きなさいね」

失礼な言い方をすれば、心が籠ってなさそうな言い方で夕食の誘いを受け、結局その日は玲子さんの旨いシチューを食べて、そのまま解散となった。

けど、最後までここに来た理由はわからなかった。