絶体絶命!死のバトル

水川穂乃が一瞬消える。

そしてまた、一瞬で現れる。



その一秒後…。


例えるならば、くじらの潮吹…。
あれが、血になった感じ。

血が、首から溢れ出した。

紅く、生々しい色の血が、水川穂乃の服を染める。


その姿に少し怯みつつも、あたしは前へ…、

前へ、足を進めた。



もう、あたしの目には水川穂乃しか見えてない。


敗者の血を踏み、ねちょりとした気色悪い感触が、足から感じられる。

そんな事では、もう怯えない。


あたしは、水川穂乃の背中の後ろに辿り着いた。

水川穂乃は、まだあたしに気付いていないようだ。



「水川穂乃さん…。あたしは、貴方と話がしたい。お願いします…。あたしと話してくれませんか?」


水川穂乃の動きがピタリと止まり…


胴体はそのまま、首が180度回転した。



「ひっ!」と、声を荒げそうになったが、なんとか呑み込んだ。


「は…な……し……?」


静かに、本当に耳を澄ませてないと聞こえないくらいの小さな水川穂乃の声。

涙を流しているからか、その声は微かにかすれていた。


「ええ、話し…。貴方に聞きたい事がたくさんあるの…。」

水川穂乃の、流れていた涙が止まる。

何も映っていないような、暗く、ぼやけた瞳に、少しだけ光が宿った気がした。

「あなた……は……、私を……。助けてくれる……?」




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