絶体絶命!死のバトル
「なんで…、このゲームをはじめたんですか…?犯人が憎いなら、どうして関係ない人達まで巻き込むんですか…!」
あたしが躊躇なく言ってしまうと、止まっていた水川穂乃の涙は、また流れ出した。
「違うの……___。私は、殺された事に関しては悲しみしか感じてない。憎しみなんか持ってない…。ただ、私は……。こんな事してでも……___、
ごめんなさい、この先は…。」
「そう…ですか…」と、曖昧に返事をした。あまりにも辛そうな水川穂乃。
これ以上何かを聞き出すのは、あたしも辛く思えてくる。
でも、憎しみじゃない。
なら、なんなの?
「水川穂乃さんっ…、なんで首取りなんかするんですか…?……私の案内人は…あなたの婚約者、アーテです。そのアーテは、あなたが首取りなんてして喜んでいると思いますか?」
何かが切れた様に、水川穂乃はさらに涙を流しはじめた。
“悲痛”“哀れ”、可哀想な言葉がたくさん水川穂乃に対して、思い浮かんでくる。
「違うっ……、私は……違う!!あっ…、うっ、翔……に……」
嗚咽で喋れなくなっている水川穂乃。
話すのは、もう精神的に無理だ。
「ごめんなさい…、無神経すぎました…。あたし、帰りますね…」
「待って!…四戦目。そう、四戦目が終わったあたりなら…。私、道香ちゃんが気付く気がするの。…私がゲームをやっている理由が。まぁ、理由があってもこんなの許されない。
それは、わかってるの…」
涙ながらに話す水川穂乃の顔は、とても綺麗で、アーテと並んでいても全然釣り合うくらい。
「道香ちゃんが、意味に気が付いた時。私、もう一度道香ちゃんをここへ呼ぶ。そして…、一つだけ、話したい事がある。」
話したい事……。
あたしは、深く頷いた。
それを見た水川穂乃も頷き、また…
あたしは、まばたきした瞬間
あのドームへと戻った。