絶体絶命!死のバトル
「上を見上げて下さい、道香様」
あたしはそういわれて、上を見た。
真っ白な空間なので、その“声”の主はすぐに分かった。
「あなた、だれなの?」
黒くて長い髪。
着物に羽織を何枚も重ねたような服。
でも、その着物は帯までも、真っ黒。
羽織だけは、下地が白重ねてあるのが赤といった色合いだった。
右目は、包帯のような物で巻きつけられていて…
瞳は赤く、ツノもはえていて…
ツノと瞳の色を除けば、ただ、世にいうイケメン、に属する容姿で、人間とさほど変わりはない。
「高野道香様ですね?私は、道香様の案内に命じられました。ここから、会場までお送りいたします。」
……あたしは、科学的に証明されているものしか信じない主義。
というか、信じられない。
でも…
到底科学的なんてものじゃあ証明できそうもない事が、あたしの身に起こり、あたしに見えているのだ。