絶体絶命!死のバトル
「…奪わないで…。……私を探して…」
奪わないで…??
私を探して!?
どういう事…?
それだけ言った水川穂乃は…。
一瞬のうちに、いなくなった。
「うっ…み…道香、大丈夫?」
さっきのシーンが余程キツかったのか、明日美は泣きながらあたしに寄った。
「…ありがとう、大丈夫だよ。…無理して励まさないでいい…から…。」
明日美が、誰よりも怖がりで、誰よりも泣き虫で、誰よりも強がりなのは知ってる。
人一倍、優しい事も。
だから、慰めてくれたんだよね…。
本当に、ありがとう…__
「明日美も、伊織も……。青斗も広也も、大丈夫…?」
あたしが言うと、伊織はコクっと頷く。
青斗と広也は…。
「ぜ、全然平気…だ……、ぞ?だろう、広也…?」
「おっ、俺も全然怖がったりしてないぜ?そ、そう言う青斗だって声震えてんじゃねーかよっ…」
「い、いやっ!声が震えてるのは広也だけだろっ」
…なーんて言い合いしちゃってる。
どっちも、怖がってるくせに。
「あ…道香は、怖くないのか?」
広也が、あたしに聞いた。
「そうだよ!水川穂乃に迫られてたでしょっ?」
と、明日美。
“怖い”かぁ。
「んー、あ、勿論怖かったけどね。それは水川穂乃が迫って来る間だけでさ。今は水川穂乃が言った言葉の意味を考えるだけで、いっぱいいっぱいな感じ。」
「…?水川穂乃が何か言ったのか?」
「うん。“奪わないで。私を探して。”だって。…正直訳わかんないだよね。」
あたしは、これに関しては本当にお手上げ状態だった。
私を探してって言われても、もう水川穂乃には会える訳だし。
探す…には、当てはまらない気がする。
奪わないで…って、何をなのかも分からない。
…本当に、何なの……?