絶体絶命!死のバトル
「……ふあっ!!」
何て可愛くない声だ。
普通、怖い夢を見た女の子はキャー!!と、叫ぶというのに。
…夢……。
にしては、臨場感があった。
本当に、水川穂乃が目の前に現れた時の恐怖は今でも思い出せるし、思い出しただけでも、背筋が凍る様になる。
何だったの…?
あの、アーテの表情。
アーテと一緒にいた“誰か”。
そして、この夢がもし、本当だったら水川穂乃とアーテは、恋人…?
水川穂乃が、あの首取りの事件で亡くなっているのなら、アーテが水川穂乃の名前を口に出す時、辛そうな顔をしていたのも分かる気がする。
“たかが夢”。
そう考えてしまうと、それはそうなのだが、あたしはどうしても、あれを夢だと捉える事ができなかった。
パジャマが汗でぐっちょりと濡れている。
あたしは、シャワーを浴びようと着替えを持ってシャワールームへ向かう。
そして、洗面台の鏡を見る。
「っ!!う…あぁっ…!」
首に、薄い痣がある。
敗者が首を取られた時の、あの引きちぎったような形の痣だ。
なんとか、襟のある服を着れば隠せそうな痣だ。
さっきの、首取りの夢…
この夢が、ただの夢じゃない事は、容易に想像できた。