絶体絶命!死のバトル


「……ふあっ!!」


何て可愛くない声だ。
普通、怖い夢を見た女の子はキャー!!と、叫ぶというのに。

…夢……。

にしては、臨場感があった。


本当に、水川穂乃が目の前に現れた時の恐怖は今でも思い出せるし、思い出しただけでも、背筋が凍る様になる。


何だったの…?


あの、アーテの表情。
アーテと一緒にいた“誰か”。

そして、この夢がもし、本当だったら水川穂乃とアーテは、恋人…?

水川穂乃が、あの首取りの事件で亡くなっているのなら、アーテが水川穂乃の名前を口に出す時、辛そうな顔をしていたのも分かる気がする。


“たかが夢”。

そう考えてしまうと、それはそうなのだが、あたしはどうしても、あれを夢だと捉える事ができなかった。


パジャマが汗でぐっちょりと濡れている。

あたしは、シャワーを浴びようと着替えを持ってシャワールームへ向かう。

そして、洗面台の鏡を見る。


「っ!!う…あぁっ…!」


首に、薄い痣がある。

敗者が首を取られた時の、あの引きちぎったような形の痣だ。


なんとか、襟のある服を着れば隠せそうな痣だ。


さっきの、首取りの夢…


この夢が、ただの夢じゃない事は、容易に想像できた。



< 81 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop