三年目の私たち
やがて彼が、すうっと寝息を立て始める。私を抱きかかえていた腕の力が抜けていく。
絡みついていた脚を引き抜こうと、そっと脚を動かした。気づかれないように、細心の注意を払いながら。
ところが頭上から聴こえていた彼の寝息が止まり、再び脚が絡みついてくる。抜けていたはずの腕に力を込めて私を抱き寄せた。
あまりのしつこさに、イライラしてくる。だって、私は抱き枕じゃない。
「離してってば、今日は出勤じゃないの?」
「違うから、もう少し寝させて」
「だったら、ひとりで寝たらいいでしょ? 私は起きるから」
じたばたする私の頭に、彼が手を触れた。ゆっくりと撫でつけてくれる彼の大きな手は温かくて、抵抗するのを忘れてしまいそうになる。
すごく落ち着ける。
「お願い、もう少し……」
頭上から零れてきた柔らかな彼の声に、ドキッとする。まるで私の気持ちを代弁してくれたみたいだったから。