★☆限りなく遠い星☆★
夕が言われたとおりヘッドセットを付け終えると、エツミがマイクを口元に寄せて言った。

「出発管制、こちらはビッキー127です。出発の許可をお願いします」

「ビッキー127、こちらは出発管制です。第3航路クリアです。出発してください」
どうやらビッキー127というのが、この小型艇の名称のようだ。エツミは操縦ロボットに伝えた。

「テイクオフ」
「ハイ。テイクオフシマス」

飛行艇は軽快なエンジン音をたてて、タワーから外に飛び出した。無数の星や巨大な星雲の姿が、夕の目の中に飛び込んできた。

「すっごーい。きれーい」
夕は感激のあまりすっごーいを連発した。

「ポイントフィックスB2」とエツミが言った。
「ハイ、ポイントフィックスB2ニ向カイマス」

飛行艇が右旋回すると、右手ウインドウいっぱいに、星雲ステイションがその巨大な姿を現した。

「わー、大きい!ほんとに大きいんですね」
「そうね。星雲間のタワーステイションとしては最大級だから」
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