★☆限りなく遠い星☆★
「あーっ!」

ヒロキは叫び声を上げ、両手で顔を覆ってしまった。

やがて、後方に流れ去る幾筋もの線状の星がゆっくりとした動きに変わり、そして止まった。ヒロキは顔を上げられなかった。

「すいません」

そう言ってうつむいたヒロキの目に大粒の涙が光っている

「いや、いいんだ。慣れてしまえばなんでもないんだ。元気を出せ」

シンジはヒロキを慰めるように言った。

「さて、それでは自動運航プログラムに切り替えたから、みんなくつろいでくれ。ここで3時間休憩を取ることにする」

シンジがクルー全員に告げると、各ブースからトム、ルイ、ジェイの三人が少しふらついた足取りで出てきた。

「はー、機関コントロールパネルを見ていられなかった」とトム。

「ぼくも監視ディスプレイを見ていたら、頭の中がごちゃごちゃになっちゃった」

ルイが両手で頭を押さえながら言った。

「あっはっは・・、そのうちに慣れるさ。心配することはないよ」

機関ミッション・スペシャリストの木村が三人を慰めた。

新人クルーにとっては苦しい訓練だがミッション・スペシャリストに成る為には避けることのできない訓練課程なのだ。

< 29 / 83 >

この作品をシェア

pagetop