★☆限りなく遠い星☆★
窓から、まばゆい光が射し込んでいる。突然、目覚まし時計のけたたましい音がした。

リリリリリーッ。

「うーん、あーっ、大変、遅刻しちゃう」

夕はベッドから飛び起きいそいで着替えてから、洗面所へどたどたと慌ただしく入って行った。

「なにをそんなに慌てているの?」

母親が台所から顔を出して言った。

「時間が無いのよ。ナオっちを連れて行くねー」

「また、どおして?」

「きょうはナオっちがモデルなの。《自然の中で遊ぶ猫》が今日のテーマだから・・・・」

夕が顔を洗いながら説明しているところに、ケイタイのチャクメロが鳴り出した。

「もしもし、あっ、エミ、うん、うん、すぐに行くから。ちょっと待っててね。うん、ナオっちも連れて行くから」

大塚エミは夕と同じ美術専門学校に通うクラスメイトで、エミが山の中の公園で遊んでいるナオっちを描いてみたい、と言ったことから展示用のスケッチを描くことになったのだった。

 エミが夕の家に遊びに来たときから、エミは青い目の子猫ナオっちが大変気になっている様子だった。

ナオっちの透きとおった青い目で見つめられたとき、何だか分からないが不思議なパワーを感じた、とエミが夕に話したことがある。

 「ナオっちは不思議な能力を持つスーパーキャットよ、きっと」

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