★☆限りなく遠い星☆★
航宙艇コンドルはその後も3回のワープ訓練をこなした。

「さて、そろそろ基地に戻るか」

とシンジが言いかけたとき、金城ヒロキが手を上げて質問した。

「キャプテン、ひとつお聞きしていいですか?」

「ああ、いいよ。なんだい?」

「あのー、ワープの間、ぼくの身体はいったいどうなっているんですか?」

「いい質問だ。瞬時移動といっても、一瞬のうちに移動しているわけではない。まだ多少の時間がかかっている。その間、我々の肉体は<有>でも<無>でもない。宇宙そのものなんだ」

「宇宙に同化しているということですか」

「そうとも言えるな。もし、もっと科学が発達して一瞬のうちに移動できるようになれば、その時初めて我々の身体は<空>の状態になる」

「まるで哲学の世界みたいですね」

「そう、科学と哲学は表裏一体さ」

木村が話しをさえぎるように言った。

「光子ロケット、スタンバイです」

「よーし、基地に戻る。光子エンジン起動」

「光子エンジン起動します」

コントロールパネルのボタンスイッチが押された。
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