★☆限りなく遠い星☆★
3アノイ星
アノイ星

どれくらい経っただろう。部屋全体がだんだん明るくなってゆくのを、夕は頭の中でうっすらと感じた。ディスプレイをみると、ディジタル表示が07:30を示している。

「七時半か。もう起きなくちゃ!」

夕の隣でまだナオっちが気持ちよさそうに眠っている。

「ナオっち、ねえナオっち、もう起きようよ」

「ふにゃー、ムニャムニャ・・・」

「あら、まだ眠いのー。しょうがないわねえ」

夕は、昨日のうちに用意されていたオレンジ色の宇宙スーツに着替えた。軽くて、とても着心地が良い。

身支度を整えベッドの上に座っていると、入り口のドアからポーンとチャイムの音が聞こえた。ドアを開けると、そこに一人の少年が立っている。

「おはようございます。夕さん。アンドロイドのダイジュです」

端正な顔立ちに透きとおるような瞳。その瞳で見つめられた夕は直ぐには言葉が出なかった。

「はぁ、おはようございます」

「朝食の時間ですが、レストランへ行ってみますか?」

「はい、お願いします」

パノラマ・ウインドウから人工太陽の光が差し込んでいる。夕はダイジュのあとについてレストランに入った。

何人かのクルーが食事をしている。それぞれが中央の金属台の上から、好きな食物をトレーにとっては食べているようだった。


「このトレーを使ってください。これに夕さんの食べたいものを好きなだけとって」

夕は、食べられそうなだけトレーに乗せると、ダイジュのあとについて窓際のテーブルに向かった。ダイジュは椅子を引いて夕を座らせ、自分も夕の横の席に座った。

窓からは巨大なアンドロメダ星雲が一望できる。すてきな光景だと夕は思った。ダイジュの前には、一つだけ何か液体のような物が入ったカップが置かれていた。


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