★☆限りなく遠い星☆★
朝食が済むと、夕は自分の部屋に戻り、出かける準備をした。航宙艇の準備が済んだら、ダイジュが呼びに来ることになっている。

夕は、ふと天井窓を見上げた。窓の外には、相変わらず無数の星が輝いている。

「これだけ星があるんだから、人間以外に人の住む星があってもおかしくないんだ」

 これからどんな異星人に会えるのかと思うと、好奇心と不安の入り混じった妙な気持になる。

その時、夕はベッドの上が気になった。ナオっちが居ない。
「ナオっち、ナオっち、どこに居るの?ねえナオっち、出てきてよー」

何回かナオっちの名前を呼んだが、ナオっちの姿はなかった。

「ほんとにもお、いったいどこに行っちゃったのかしら」

ポーンとチャイムの音がした。

「はーい、ダイジュさんね。」

 夕がいそいで立ち上がりドアを開けると、夕と同じオレンジ色の宇宙スーツを着たダイジュがドアの前に立っていた。

「お待たせしました。用意はいいですか?それじゃ、輸送タワーへ行きましょう」

夕はダイジュの後ろについて、輸送タワーに入った。二人の目の前に、ちょうど小型飛行艇の二倍くらいの大きさの航宙艇が待機している。

二人が航宙艇の横に立つと、航宙艇から伸びた青白い光線が二人を包み込み、やがて二人はゆっくりと艇内に入って行った。

コクピットに入るとダイジュが操縦席に、夕は副操縦席に座った。

 突然、夕の後ろでチリンチリンと鈴の音がした。後の席にナオっちがちょこんと座っている。

 「あっ、ナオっち。ここにいたの?いつ乗ったのかしら」

「驚いたですね。まさかこの艇にのっていたとは」

「ごめんなさい」

「いや、いいんですよ。きっと夕さんと一緒に行きたいんでしょう」
「にゃーん」
 ナオっちがうなずいた。
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