★☆限りなく遠い星☆★
 そう言われても夕にはなんのことだか、さっぱり分からなかった。

「エミは感受性が強いからね」

 他のクラスメイトにその話をしても、そんな返事が返ってくるだけだったが、みんなで一度そのナオっちを見てみようということになり、今日のスケッチ会が計画されたのだった。


「あー、あと20分しかない。ナオっち、おいでー」

「ご飯はどうするの?」

「いらなーい。ナオっち行くよー」

 チリンチリンと鈴の音がした。

「にゃーん」

夕は青い目の子猫ナオっちを頭だけ外に出るようにリュックの中に入れ、奥に向かって叫んだ。

「行ってきまーす」

「気をつけてね」と母親。

リュックを背負いヘルメットをかぶって、愛用のバイクにまたがりエンジンをかけた。赤いボディで夕のお気に入りのモーターバイクだ。

タッタッタッタッター。

夕のバイクは軽快なエンジン音を響かせて走り始めた。

「しっかりつかまっててよ、ナオっち。いそぐからね」

「にゃーん」
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