★☆限りなく遠い星☆★
モニター画面には、アノイ星への進入航路が表示されている。アノイ星が近づくにつれ、緑の大地が目の前に迫ってきた。

「アノイ星には海はないのね。でも、湖みたいなものがいっぱい見える」

「そうですね。大きな湖は、川と運河で結ばれています。交通の便はいいですね。川には大小様々な船が走っています」

二人が話しているうちに、航宙艇は着陸基地の進入路に入った。

「モナム空港進入管制、こちらブルームーンです。着陸の許可をお願いします」

「ブルームーン、こちらモナム空港進入管制です。第2ポート、クリア・トウ・ランド(着陸を許可します)。」

「了解。第2ポートに着陸します」

モニター画面の中でオレンジ色のラインが点滅し、回りの景色が川の流れのように後方に飛び去る。着陸時の衝撃はなかった。

航宙艇はスーッと滑るように滑走路をはしり、球形ビルの手前で止まった。二人は、ナオっちを航宙艇の中に残して町なかへと向かうことにした。

「人がたくさんー」

「ええ、アノイ人がほとんどですが、なかには他の星雲からやって来て、ここに住み着いている異星人もいます」

「ここには、戦争はないんですか?」

「はい、昔はありましたが、今はありません。ただ、ここには、獰猛な野獣がいますので、それだけは気をつけねばなりません」

「獰猛な野獣って、人を襲うんですか?」

「はい、急に襲われて、大けがをした人や死んだ人がかなりいます」

「ふーん、穏やかそうな星なのに」
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