★☆限りなく遠い星☆★
「こっちは自然そのものっていう感じね」と夕。

「そこの森を抜けると、レストハウスがあります。そこまで行けば砂漠が見えますが、行ってみますか?」

「ええ」

二人は森の中を歩き始めた。木々の間から大小さまざまな沼が見え隠れした。

「不思議な水の色ね」
「どの沼も、みんな色が違うんです」

しばらく行くと、奥のほうからピン、ポン、ポーンとなにやら音楽のようなもの音がかすかに聞える。

「夕さん、聞えますか?あの音」

「なにかしら。さっきから気になっていたんだけど」

「もう少し行くと見えますよ」

二人が森の木々の間を抜けると、目の前に大きな沼が広がった。


「あ、あれ、なに?」

 夕がすっとんきょうな声をあげた。全体がオレンジがかった色の水面から、いくつも大きな水玉が上がっている。

それが次から次へと現れ、ある高さまで上昇するとポンと音をたてては消える。それが沼のいたるところから現れては消えるものだから、ポン、ポン、ポオーンとまるで音楽のように聞こえるのである。

小さい水玉は高い音を、大きい水玉は低い音を奏でる。 二人は沼のほとりに立ち、しばらくの間その音楽に耳を傾けていた。

 ピン・ポン・ポーン・ピン・ピン・ポーン

 一つ一つの水玉がそれぞれ音色の違った単独の音を発するのだが、それがまとまると美しい音楽に聞こえる。不思議な音楽だなあと夕は思った。

「夕さん、あそこを見てください」
ダイジュが右手の水玉を指差した。
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