★☆限りなく遠い星☆★
 「あーっ、ナオっち!なにやってんのー?」

ダイジュが指差した水玉の上にナオっちが乗っかっていた。水玉はゆらゆら揺れながら上昇し、ポンと音をたてて消えた。

「あっ、あぶない」

その瞬間、ナオっちは下から上昇してくる別の水玉に飛び移った。ナオっちが水玉に乗るたびにナオっちのお尻がゆらゆら揺れて、とても楽しそうに見える。

夕とダイジュはあっけに取られて、しばらくナオっちと水玉を見つめていた。

「夕さん、そろそろ時間です」

「あっ、そうよね。ナオっち、こっちへおいで。もう行くよ」
「にゃーん」

ナオっちがイヤーンといった。

「もう、だめ!先に行っちゃうよ」

 ナオっちはあきらめたのか、水玉から飛び降り夕のそばに寄ってきてスリスリし始めた。夕はナオっちを抱きかかえると、ダイジュと一緒に歩き出した。

しばらく行くと、森がとぎれ、広大な砂漠が目の前に広がり、レストハウスが姿を現した。レストハウスは、二階建ての建物で、一階が休憩所、二階が通信所になっている。

「夕さん、まだ歩けそうですか」

「ええ、大丈夫よ。でもナオっちは重いから自分で歩かせるわ」

「にゃーん」

「それでは、あの丘の上まで行きましょう」

ダイジュを先頭に、その後を夕とナオっちが登りはじめる。

丘の上に立つと、砂漠がかなり遠くまで見渡せた。

「砂漠って、本当に広いわね。あ、あれは?」

夕の指さした砂漠の稜線に、急に何百もの黒い物体が現れ、白煙を立てて砂漠の丘を降りてきた。

「ああ、こっちへ向かってくる。あれは何?」

「あれはバーダイの群れです。ああ、こちらへ来そうだなぁ。夕さん、私の手を握ってください」

夕はダイジュの手を握った。次の瞬間、二人は同時に宙に浮き、大きな木の枝の上にストンと降りた。バーダイの何百という群れは、音を立てて丘を登り始め、あっという間にその先頭が二人のいる木の下に達した。

「あーっ、なにあれ!」
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