★☆限りなく遠い星☆★
 「ダイジュさん、自分からアンドロイドって言ってたけど、とてもそんなふうに思えないんです」

 「ええ、実はダイジュはもともととってもかわいい少年だったの。もうだいぶ前のことだけど、ダイジュはお父さんとお母さんに連れられて旅行にでかけたの。その途中・・・・・」

 それは大樹にとっても楽しい旅になるはずだった。パール星のウエスト・ストーン空港には、父の研究仲間や大樹の友達、その他大勢の人々が見送りのために集まっていた。

 「大樹、星雲ステイションから戻ったら、いっぱい土産話を聞かせてよ」

 大樹の幼なじみのマサミが大きな声で言った。

 「うん。いっぱいお土産を持って帰ってくるからね」
 大樹もうれしそうに、それに応えていた。

 子どもたちの横では、大樹の父牧野シゲル博士が何人もの研究者に囲まれ、見送りのあいさつを受けている。牧野博士は有名な植物学者で、この自然の宝庫パール星で長い間品種改良の研究を手がけてきた。

その専門分野で一定の研究成果をおさめ、その成果を持って星雲ステイションに行き、技術指導をすることが今回の旅行の目的だった。

 出発の時間が迫り、母親が大樹に声をかけた。

 「大樹、もう出発の時間よ。みなさんにお礼を言って」

 「うん、わかった。じゃあ、みんな行ってきまーす」

 「いってらっしゃい」

 送迎ホールに子どもたちの元気な声が響いた。大勢の見送りの声を背に、親子はスポットに駐機している中型航宙艇に乗り込んだ。

航宙艇の操縦席では既に操縦ロボットが装置類のチェックを終えて待機している。三人は操縦ロボットのすぐ後ろの席に座り、シートベルトを締めた。
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