★☆限りなく遠い星☆★
 エツミの質問にジョーが応える。

「我々が把握している宇宙空間の中では、最も好戦的な異星人の集団なんです。彼らは、自分たちの領域に他の人種が踏み込むのを非常に嫌っている。しかし、その領域を通過するしか地球への近道は無いんですよ」

「領域に入っても彼らと遭遇しなければ問題はないんだが」とシンジ。

「結局そこを通過するしか方法がないのね」

「そうだな。のんびりした旅行なら、別に大回りをしてもいいんだが。今回ばかりはそうは行かないんだ」

 夕が右手を大きく振って割り込む。

 「だいじょうぶよ、きっと、何とかなりますよ。私、そんな気がする」

「そうね。あなたは何回か危機的な状況にあったけど、でも、何でもなかったものね。あの猫ちゃんのおかげかしら」

 「ナオっちって言うんですけど。一体、どこにいるのかしら。ああ、いたいたと思うと、また、どこかへ消えてしまうんです」

「でも、肝心な時は、いつも現れるから心配はなさそうね」

「はい」

エツミと夕の会話をだまって聞いていたジョーがエツミの方を見て。

「ところで、エツミさんは地球は今回が初めてですね?」

「ええ、そうなの。でも、こんな状況下で地球に行くなんて。もっと早く行っておけばよかったわ」

「どこかに親戚の方がいるんですか?」夕が尋ねだ。
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