★☆限りなく遠い星☆★
 頭上に無数の星が輝いている。

「星かしら。なんだかライトの光みたいだけれど」

 夕は立ち上がり、もう一度目を凝らして上を見た。
それは青白い光を放つ、無数のライトだった。内部は広い温室のように思える。

突然強いライトの光を全身に浴びたと思ったら、今度は広大な温室全体に声が響いた。

「にゃーん、にゃーん」

「ソコニイルノハ、誰デスカ?ソコカラ動カナイデクダサイ」

夕は呆然として立ちすくんだ。

ロボットがライトを照らしながら近づいて来る。

ロボットは夕の傍まで来て立ち止まり、二つの赤い目でじっと夕を見つめた。

「あのー、あたし」

「危ナイデスカラ、私ノ後ヲ、ユックリト ツイテキテ クダサイ」

ロボットは扉の方へ向きを変えると、ゆっくりと歩きだした。夕は、戸惑いながらも、ロボットの後について行った。

 夕の両側には、これまで一度も見たことがないような植物が立ち並び、巨大な葉がゆっくりと左右に揺れながら夕を見下ろしている。
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