★☆限りなく遠い星☆★
「夕さん、だいじょうぶ?」

「ええ、だいじょうぶです。ただ、すっごくふわふわとした感じがあって、なんだかまだ身体が浮いているみたいです」

「無理もないわね。いっきに10万光年も移動したんだから」

「10万光年?」

 夕はひざの上のナオっちを見た。ナオっちは何事もなかったようにすやすやと眠っている。

その時、キャビン後方のドアが開き、アンドロイドのロペスがトレーにコーヒーカップをのせて入ってきた。室内にコーヒーのいいにおいが漂った。

「コーヒーをお持ちいたしました」

「はい。ありがとう」

「夕さんも一つどうぞ」

ロペスは夕にもカップを渡した。

 「はい、ありがとう」

 全員がカップをそれぞれ受け取ると、ロペスはトレーを持って奥に消えた。静かな時間がゆっくりと過ぎた。

「長官、時間ですので誘導蓄熱装置を起動します」

 シンジがミカサ長官のほうを向いて言う。

「うむ、そろそろだな」

「誘導蓄熱装置起動します」と機関ミッション・スペシャリストの木村が伝えた。
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