★☆限りなく遠い星☆★
5.破壊
5.破 壊

夕が目覚めたとき、エツミはすでに起きて洗面台の前に立っていた。

「おはようございます。起きなくっちゃ」

「おはよう。あわてなくてもだいじょうぶよ。まだ時間はあるから」

 夕はベッドから降りると、宇宙スーツに身を包んだ。

「まだ1時間あるから、朝食を取りながら待っていましょう」

「はい。ああら、ナオっち、まだ寝ている」

 コンパートメントのドアのチャイムがポーンと鳴った。

「ロビンね、どうぞ」

 朝食の入った透明ケースを2個持ってロビンが入ってきた。夕はロビンがテーブルに置いた透明ケースをめずらしそうに見つめた。

「テーブルの上に置きます。温かいうちにどうぞお召し上がりください」

「ありがとー」

 ロビンがドアから出て行くと、二人はテーブルに着きケースの蓋を開けた。コーヒーとトーストの香りがぷーんと室内に漂う。

「それじゃ、頂きましょう」とエツミ

「いただきまーす」

夕は元気に言うと食べ始めた。


 ワープの30分前、エツミと夕は操縦キャビンに入り、指定の席に座った。夕はシートベルトを締めると、ナオっちをひざの上にのせ、コクピットに視線を移した。

コクピットではシンジとヒロキが操縦装置類のチェックをしている。

 クルー全員が揃ったのを確認して長官が話を始めた。

「次のワープで、ネル星人の領域を通ることになる。もしかすると攻撃を受けることになるかもしれないが、なるべく衝突は避けたいので、2隻ずつ編隊を組んで順次出発することにする。
最初は、1号艇と2号艇、次が3号艇と4号艇、その次に我々が出発する。
最後が5号艇と6号艇だ。到達目標地点はNX492。それでは各艇誘導蓄熱装置を起動して待機してください」

シンジが機関ブースに向かって指示を出した。


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