★☆限りなく遠い星☆★
 ピカーッと周りが明るくなり、二筋のレーザー光線が2機の敵攻撃機に吸い込まれた。

その瞬間、ドーンと鈍い音がして2機は爆発し粉々になって飛散した。それをコクピットのウィンドウから見ていたヒロキが、

「やったー」と絶叫した。

3号艇と4号艇を攻撃していた十数機の敵攻撃機はそれを見ていたのか、はるか彼方に遠ざかって行った。

「監視レーダーから敵機の機影が消えました」

リンダがシンジに報告した。

司令艇はゆっくりと3号艇に近づいた。キャビンの窓から3号艇の無残な姿が見える。

コクピットの天井パネルに大きな穴が開き、そこからオレンジ色の炎が噴出している。

「ああ、ダイジュ、ダイジュさん・・・」

夕は窓ガラスに両手を当てて、何度もダイジュの名前を呼ぶと、ああーっと叫んでそのまま床に座り込んでしまった。目から大粒の涙が流れ出てきた。

「ひどい!」

エツミは両手を口にあてて言ったが、それ以上ことばにならなかった。3号艇はコクピット付近がメチャメチャに破壊されている。

4号艇は壁面に大きな穴が開き、各所で炎がくすぶっていた。

「メル星人がこんな強力な武器を持っているなんて」シンジがつぶやいた。

「救命ボート用意」

2艘の救命ボートが司令艇から発進すると、夕とエツミは目に涙をためたまま窓から救出作業を見守った。

救命ボートからは、戦闘服に身を固めた14人のアンドロイドが船外に出て、遭難したクルーを探している。

シンジがミカサ長官を見て言った。

「誘導蓄熱装置を起動します」

「うむ、またいつ敵が攻撃してくるか分からんな」

キャビン内にブーンという低い振動音が響いた。

いつまでもこうしてはいられない。エツミは夕の肩を抱いて言った。

「夕さん、席に戻りましょ」

夕は窓の方を振り返りながら自分の席に着いた。

司令艇の外では必死の捜索作業が続けられたが、懸命な捜索にもかかわらず、生存者は1名も見つからなかった。敵ミサイルの爆発でクルー全員が宇宙空間に吹き飛ばされてしまったのだろう。
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