★☆限りなく遠い星☆★
「長官、5号艇と6号艇からNX492に到着との連絡が入りました」
シンジがミカサ長官に報告した。

「うむ、至急次のワープの準備をするようにと伝えてくれ」

「はい」

 シンジが機関ブースに向かって聞いた。

「ワープエネルギーは?」

「はい、あと11分で蓄積完了です」

「残念だが時間がない。捜索を打ち切る」とミカサ長官。

 ついに引き上げの合図が司令艇から出され、救命ボートは司令艇に戻った。

 監視ブースでレーダースコープを見つめていたリンダが叫んだ。

「キャプテン、敵攻撃機が接近中です」

その時、右手から赤い光の尾を引きながら何かが司令艇めがけて飛んきた。

「敵ミサイル右40度」

「応射!」

デビッドがレーザー銃の引き金を引いた。右前方で爆発が起きた。

「やったー」とヒロキ。

その瞬間、爆発の煙の中を後方から2発目のミサイルがつき抜けてきた。

「あっ、あぶない!」

 ドカーンと爆発音が聞こえ、司令艇が大きく揺れた。艇内の赤色ランプがチカチカ点滅し、ブザーが鳴り響いている。ミカサ長官がシンジに聞いた。

「被弾したか?」

「いえ、大丈夫です」

「ワープまであと何分だ?」

「あと4分です」と木村。

息詰まる瞬間が流れた。リンダがまた叫んだ。

「あっ、前方からミサイル!」

もう一発のミサイルが煙の中から急に現れ、コクピットをめがけて飛んできた。

「危ない!」とエツミ。

その時、夕の抱いていたナオっちの目がピカーッと青く光った。その瞬間、司令艇全体が青白い光に包まれ、消えた。残った光の真中を一発のミサイルが突き抜けていった。

< 72 / 83 >

この作品をシェア

pagetop