★☆限りなく遠い星☆★
 窓の外を白い線が幾筋も流れている。夕は消耗する体力の中で、懸命に歯を食いしばった。

無数の星が体の中を突き抜けていくような感じだった。

 星雲間ポジショニングシステムの画面を見つめていたリンダが報告した。

「レオ132に到着です」

「奇跡だ!」とシンジ。

「うむ、至急1号艇と2号艇を探してくれ」

 その時、シンジのヘッドセットから男の声が流れ出た。

「こちら1号艇です。応答して下さい」1号艇のジョーからだった

「こちら司令艇、たった今レオ132に到着した。長官、1号艇のジョーから連絡です。2号艇も無事とのことです」

  操縦席のモニター画面が1号艇と2号艇の姿をとらえている。ジョーの音声が響き渡った。

「長官、ご無事で何よりです。エツミさん、だいじょうぶですか?」

「だいじょうぶよ。こちらはみんな無事です」

夕はボーッとした頭の中でジョーとエツミのやりとりを聞いていた。

「夕さん、だいじょうぶ?」

「はい…、夕は、夕は、だいじょうぶです。でも…、なんか頭の中が真っ白で」

「すぐ回復するから心配ないわ。もうしばらくじっとしていてね」

夕は、言われた通りナオっちを膝の乗せたまま、イスの上でじっとしていたが、やがて、少しずつ頭のなかの霧がはれていくのを感じた。

「エツミさん、3号艇と4号艇の人達は?」

「残念なことだけど、一人も救出できなかったの」

「かわいそうー]



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