★☆限りなく遠い星☆★
 ミカサ長官がシンジに聞いた。

「ほかの艇はどうかな?」
「はい、全艇スタンバイです」

「よし、次の到達目標はペルセウスM76。1号艇からワープ開始」

 先頭を飛行していた1号艇がまずワープを開始。続いて2号艇、司令艇、5号艇の順に青白い光を残してその姿を消した。

 身体の中を無数の星が突き抜けていく。そんな感覚を夕は再びあじわっていたが、不思議と苦痛はない。身体がワープに慣れたのだろう。

 星の白い流れがゆっくりとした動きになり、やがて止まった。

司令艇後方の広大な宇宙には星雲の天の川が横たわり、天空には真っ赤な羽を広げたフェニックス星雲がきらきら輝いている。

シンジがミカサ長官に報告した。

「ペルセウスM76に到着です」

司令艇の前を1号艇と2号艇が距離をおいてゆっくりと飛行している。

シンジの耳元に監視ブースのリンダから報告が入った。

「5号艇も到着しました。後方にいます」

ミカサ長官が全員に告げた。

「ご苦労さん。ペルセウス星雲基地で少し休息だ」

 いつだったか、プラネタリウムで見たペルセウス星座のことを夕は思い出していた。

「ペルセウス星雲基地って大きいんですか?」

「ええ、星雲タワーステーションほどではないけれど。でも、ゆっくりできるわ」

 航宙艇は準光速で進んでいる。監視ブースのリンダの声が操縦キャビン内に響いた。

「星雲基地をとらえました。中央スクリーンに映します」

中央スクリーンの真ん中に、まだ豆粒ほどのペルセウス星雲基地が映っている。航宙艇が近づくにつれ、コクピットの窓からも星雲基地の姿がはっきりと確認できた。

基地管制部から進入の指示が各艇のキャプテンに伝えられた。

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