★☆限りなく遠い星☆★
「分かった。それでは我々と一緒に司令艇に乗ってもらおう」

ミカサ長官が大田に向かって言った。

「ありがとうございます。ご一緒させて頂きます」

大田調査官は再び敬礼をし、踵を返すとスーっと開いたドアから大またで出て行った。

「ちょっと硬くて無口な男ですが、本人の希望でもありますので、よろしくお願いします」

 ジム司令官が一瞬見せた安堵の表情がシンジには少し気になったが、とにかく仲間として受け入れなければならないな、と考えた。

 そのころ、エツミと夕は女子寮の部屋に案内されていた。大きなソファが置かれている正面ロビーの奥通路の両側に、女子隊員用のワンルームのドアが整然と並んでいる。

隊員の一人ウェンディがエツミと夕を部屋の中に案内した。

「こちらがエツミさんの部屋です。隣が夕さんね」

「ありがとう。ようやく、ゆっくりできそうだわ」とエツミ。

「大変な旅でしたね。でも、無事でよかったわ」

 エツミと夕はウエンディにお礼を言うと、それぞれの部屋の中に入った。夕は抱えていたナオっちを床の上に下ろすと、いままでの緊張感がいっぺんに吹き飛んだ。

「あーっ、疲れたー。すっごく眠い」

夕はベッドに倒れると、宇宙スーツを脱ぐ間もなく深い眠りに落ちた。

 夢の中を航宙艇が猛スピードで飛行している。赤や黄色のライトがついては消え、ブザーが鳴り響き何かがドカーンと爆発した。

「あーっ、こわい」

夕は目を覚まし体を起こして周囲を見回した。何も起こらなかった。

「夢を見ていたんだわ。あのときの…」

夕の脳裏にダイジュのあのやさしい顔が浮かんだ。

「ダイジュさん・・・」

ペルセウスでまた会いましょう。そういった時のあのダイジュの笑顔を思い出した夕の目から涙が流れ落ちた。

「どこにいるの?ダイジュさん・・」

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