★☆限りなく遠い星☆★
夕はベッドの上で壁に寄りかかったまま、しばらくボーッとしていた。気がつくと壁の上のディスプレイに文字が浮かび上がっている。

「えーっと、《 夕さん、起きていますか。隊員食堂で一緒に朝食をとりましょう。07:50になったら迎えに行きます 》ウエンディからだわ。」

 壁のディスプレイ表示時計がちょうど07:00を示していた。夕はシャワーを浴び、身支度を整えると、窓の外の星雲を見つめながらウエンディを待った。

ウエンディがエツミと夕を連れて隊員食堂に入ると、大勢の隊員たちがガヤガヤにぎやかに食事をしていた。その中にシンジとジョーそれに新人クルーのヒロキと2号艇キャプテンのネッドがいる。

三人は好みの料理をカップに盛りトレーにのせると、シンジ達のいるテーブルに着いた。 ジョーがエツミに尋ねた。

「エツミさん、よく眠れましたか?」

「ええ、疲れていたのかしら。ぐっすり眠っちゃった」
 ヒロキが夕の方を向いて尋ねる。

「夕さんもよく眠れたでしょう?」

「ええ、ベッドに横になったとたん死んだように眠ってしまって・・、おまけに怖い夢までみちゃった」

「一生に一度あるかないかの経験をしてしまったんですものね」
とウエンディが夕に言うと、それを聞いていたシンジが夕の方を向いて言った。

「猫ちゃんのパワーにはびっくりしたな。前からあんなパワーを持っていたの?」

「いえ、あたし全然知りませんでした」と夕。

「アノイ星でも夕さん、あの猫ちゃんに助けられたのよね。ほんとに不思議な猫ちゃんよね」

エツミも信じられないという顔付きで言うと、ウエンディも

「ナオっちって言うんですか。私にもあんな猫ちゃんが居たらなー」と言った。それを聞いていたヒロキが、

「女子隊員寮の皆さんで飼ってみたらどうですか」と提案した。

「基地の中では捜索犬以外の飼育はだめなの。もし他の星に異動できたら、その時はぜひ一緒に住んでみたい」とウエンディ。


< 79 / 83 >

この作品をシェア

pagetop